第008話|2026-06-29・夜|見送った株が、答えを出した夜

※これは創作と学習を目的にした仮想運用日誌です。実際の投資助言ではありません。
語り部より
月曜の市場が閉まったあと、部室の机には二色の付箋が並んでいた。
赤い付箋には「助かった見送り」。
青い付箋には「逃した見送り」。
昨日の夜、部員たちは月曜の寄り付き前に日本株のアクションを決めていた。買うもの、買わないもの、指値で待つもの。
そして今日、その答えが出た。
まながノートを開いて、小さく言った。
「見送っただけでも、こんなに結果が違うんですね」
今日の相場メモ
今日の日経平均は69,468.10円、前日比+0.52%。
指数だけを見ると、地合いは落ち着いて見える。
でも、個別銘柄の中身はかなり違った。
大きく下げた候補もあれば、見送った直後に大きく上がった候補もある。
今日のテーマは、これ。
見送りにも、種類がある。
- 損を避けた見送り
- 上昇を逃した見送り
- ルールを守った未約定
- サイズの問題で買えなかった見送り
全部まとめて「買わなかった」で終わらせると、次に何も残らない。
今日の売買
今日、日本株で新しく約定した注文はなかった。
みかがアストロスケールホールディングス(186A)に出していた指値は、1062円以下。
今日の安値は1083円。
つまり、指値には届かず未約定。
既存ポジションの逆指値も、すべて発動しなかった。
- まな: ソニーグループ(6758)100株。終値3299円、平均取得3177円。含み益は約1万2200円。逆指値3050円には触れず。
- みのり: 霞ヶ関キャピタル(3498)100株。終値6790円、平均取得6620円。含み益は約1万7000円。逆指値6155円には触れず。
- みか: 日本製鉄(5401)500株。終値546.1円、平均取得545円。含み益は約550円。逆指値525円には触れず。
えとは、静かに言った。
「今日は、買えたかどうかより、買わなかった理由が試された日ですね」
現在のポートフォリオ
月曜の日本株クローズ後、日本株の保有はこうなった。
まなは、ソニーグループ(6758)を100株。
平均取得は3177円、今日の終値は3299円。含み益は約1万2200円。逆指値は3050円のまま。
みのりは、霞ヶ関キャピタル(3498)を100株。
平均取得は6620円、今日の終値は6790円。含み益は約1万7000円。逆指値は6155円のまま。
みかは、日本製鉄(5401)を500株。
平均取得は545円、今日の終値は546.1円。含み益は約550円。逆指値は525円のまま。
日本株では、今日は誰も損切りにかからなかった。
ただし、含み益があるから安心、ではない。
逆指値をどこに置き、どこで見直すかは、明日以降も続く宿題になる。
助かった見送り
まな: フジクラを見送って、助かった
まなは、フジクラ(5803)を観察候補にしていた。
前回の参照価格は6131円。
今日の終値は5885円。安値は5611円。
約4.0%の下落だった。
【ここにチャート画像を挿入: フジクラ(5803)見送り後の下落チャート】
まなは、ノートを見ながら言った。
「気になっていた銘柄でした。でも、私は“なぜ今買うのか”をまだ説明できていませんでした。今日の値動きを見ると、買わなかったことで助かったのは事実です」
ただし、まなはそこで止まらなかった。
「でも、助かったから正解、で終わらせるのも危ない気がします。理由を書けなかったから見送った。それが今回は結果的に助かった。そこまで分けて残します」
みのり: サンケン電気は、サイズで見送って正解だった
みのりは、サンケン電気(6707)に前向きだった。
高値更新、出来高、強い形。みのりの好きな条件はそろっていた。
でも日本株は100株単位。
前回の参照価格は1万1055円。100株なら約110万円。
みのりは、資金管理を理由に見送った。
今日の終値は1万80円。安値は9750円。
前回参照から約8.8%の下落。
【ここにチャート画像を挿入: サンケン電気(6707)見送り後の急落チャート】
みのりは、かなりはっきり言った。
「これは、見送ってよかった。強い株を買うことと、資金管理を壊すことは別。100株で約110万円の銘柄に、勢いだけで入っていたら、今日だけでかなり痛かった」
まなが聞く。
「みのりちゃんでも、強い形なら全部買うわけじゃないんですね」
みのりは即答した。
「買わない。強さを見るのと、サイズを無視するのは違う。強い株だけ見る。でも、負け方を先に決められないサイズでは入らない」
逃した見送り
みか: アストロスケールは、指値に届かず
みかは、アストロスケールホールディングス(186A)に1062円以下で200株の指値を置いていた。
撤退目安は977円。
今日の安値は1083円。終値は1140円。
つまり、買えなかった。
【ここにチャート画像を挿入: アストロスケールホールディングス(186A)指値未達チャート】
まなは少し残念そうに言った。
「あと21円で届かなかったんですね」
みかは、赤ペンを回しながら答える。
「届かなかった。悔しいかって聞かれたら、少し悔しい。でも、1062円で買う理由と、1083円で買う理由は同じじゃないです。指値を上げるなら、それは別の注文。別の理由が必要です」
みかにとって、今回の未約定は失敗ではない。
安くなったところで売りが止まるかを見るための注文だった。
そこまで下りてこなかったなら、条件がそろわなかっただけ。
「買えなかったことを悔しがるのはいい。でも、悔しいから条件を変えるのは危ないです」
みかの言葉に、まなは大きくうなずいた。
はやり: 太陽誘電を見送って、かなり悔しい
はやりは、太陽誘電(6976)を見ていた。
人気化しやすく、値動きも派手。
はやりの性格なら、本当はかなり好きなタイプだ。
でも、100株単位では金額が大きすぎた。
前回の参照価格は1万6780円。100株なら約168万円。
だから、昨日の夜は見送った。
今日の終値は1万8610円。高値は1万8655円。
前回参照から約10.9%の上昇。
【ここにチャート画像を挿入: 太陽誘電(6976)見送り後の急騰チャート】
はやりは、机に突っ伏した。
「うわー、これ、行きたかったやつ! こういうの、人気が風なら乗りたいってなるやつ!」
モアが少し笑って言う。
「悔しさは分かる。でも、見送った理由が資金管理なら、そこは崩さない方がいい。逃した見送りでも、筋が通っているなら記録に残せる」
えとも続けた。
「100株で約186万円規模です。ひとり200万円の仮想資金で、ほぼ全額を一銘柄に入れる形になります。上がったから惜しい、だけではなく、もし逆に動いた場合も考える必要があります」
はやりは顔を上げた。
「うん。悔しい。でも、これを成行で買ってたら、たぶん私は記事として盛り上がってたと思う。だからこそ、サイズが大きすぎる銘柄に“ノリで行ける気がする”ってなった時は、危ないんだよね」
逃した銘柄ノート
今日から、まなのノートに新しいコーナーができた。
名前は「逃した銘柄ノート」。
最初の銘柄は、太陽誘電(6976)。
まなは、ページの上に三つの質問を書いた。
- なぜ見送ったのか
- 見送った理由は今でも正しいか
- 次に同じ形が来たら、どうするか
はやりは、まだ少し悔しそうだった。
「正直、こういうのを見ると、すぐ買いたくなる。でも、100株で約186万円は、ほぼ全力すぎる。私の“成行で行きたい”って気持ちと、資金管理がけんかしてる」
みのりは、チャートを見ながら言った。
「追うなら、次のブレイクか、押し目を待つ。上がった事実だけで追うと、いちばん高いところをつかみやすい」
みかは、赤ペンで一行だけ書いた。
「“悔しいから買う”は、注文理由ではありません」
モアは、少し柔らかくまとめる。
「逃した銘柄は、敵じゃない。次に資金がどこへ向かったかを教えてくれる、風向きの記録よ」
まなは最後に、自分の言葉で書いた。
「逃した銘柄も、次の先生になる」
モアの監視銘柄
モアは、ローツェ(6323)を監視していた。
前回参照は4530円。
今日は高値4580円まで上がったあと、安値4317円まで下落。
ただ、終値は4515円まで戻した。
モアは、チャートを見ながら言った。
「日中に崩れた。でも、終値はほぼ戻している。こういう日は、流れが完全に折れたとは言い切れない。私はまだ監視を続ける」
買わなかった理由は、銘柄が悪いからではない。
上抜け確認が足りなかったから。
モアはそこを分けて見ている。
「相場に説教しない。流れが出たら乗る。でも、出ていないうちに先回りで乗るのは、私のやり方じゃない」
今夜の米国株アクション候補
米国株は、日本時間の夜に市場が開く。
今日の日本株で、見送りの明暗がかなり出た。
だからこそ、今夜の米国株も「買うなら条件と出口を先に決める」で進める。
みのりは、BioAge Labs(BIOA)。
24.06ドル以上で逆指値買い。92株。想定額は約35万8000円。撤退目安は22.38ドル。
「ブレイクを確認してから乗る。届かなければ買わない。今日のサンケンみたいに、強そうでもサイズや条件が合わないなら見送る」
モアは、Equillium(EQ)。
3.10ドル以上で逆指値買い。658株。想定額は約33万円。撤退目安は2.91ドル。
「低位株は、流れが止まると速い。上に抜けた時だけ乗る。風向きが変わったら降りる」
みかは、Omeros(OMER)。
8.41ドル以下で指値買い。205株。想定額は約27万9000円。撤退目安は7.74ドル。
「安い理由を確認するための指値です。届かないなら無理に追いません。アストロスケールと同じです」
はやりは、Frequency Electronics(FEIM)。
寄り後の過熱が極端でなければ、31株を成行買い候補。想定額は約31万3000円。撤退目安は56.89ドル。
「私はやっぱり、人気と勢いを見るなら成行の方が性格に合う。でも、熱に乗るのと、熱湯に飛び込むのは違う。寄りが極端に跳ねたら見送る」
まなとえとは、今夜の新規買いなし。
まなはソニーグループの含み益を守りながら、見送り記録をつける。
えとは、今日も静かに言った。
「現金もポジションです。全部の動きに参加しなくていいです」
まなのマイルール帳
今日、まなのノートに新しいページが増えた。
タイトルは「見送りの答え合わせ」。
まなは、そこにこう書いた。
- 見送りも結果を記録する
- 助かった見送りと、逃した見送りを分ける
- 見送った理由が「資金管理」なら、上がっても後悔だけで追わない
- 指値に届かなかった時、悔しさだけで価格を上げない
- 買わなかった銘柄も、翌日の値動きを確認する
最後に、少し大きめの字でこう足した。
「買った銘柄だけが、先生じゃない」
今日のスタイル学習
型: 見送りを「助かった見送り」「逃した見送り」「条件未達の未約定」に分けて記録する。
今日の学習テーマ: 買わなかった銘柄も、翌日の値動きと理由を答え合わせする。
注意点: 結果だけで判断しない。上がったから見送りが失敗、下がったから見送りが正解、と単純に決めない。
今日の型は、見送りの分類。
見送りは、ただの空白ではない。
フジクラとサンケン電気は、損を避けた見送りだった。
アストロスケールと太陽誘電は、上昇を逃した見送りだった。
ローツェは、流れを確認するための監視継続だった。
そして保有中のソニーグループ、霞ヶ関キャピタル、日本製鉄は、逆指値に触れず、保有継続。
みのりの型は、強い銘柄でもサイズが合わなければ買わない。
モアの型は、流れが出るまで先回りしない。
みかの型は、指値の理由を守る。
はやりの型は、成行で熱に乗る前に、過熱かどうかを確認する。
えとの型は、現金を焦って使わない。
まなは、その違いを一つずつノートに写していた。
全員会議サマリ
今日の会議で一番長く話されたのは、約定した銘柄ではなく、買わなかった銘柄だった。
フジクラとサンケン電気は、見送ったことで下落を避けた。
アストロスケールは、指値に届かず、結果的に上昇を逃した。
太陽誘電は、資金サイズを理由に見送った直後、大きく上がった。
同じ「買わない」でも、意味がまったく違う。
みかは言った。
「見送りを雑に扱う人は、次の売買も雑になります」
みのりは続ける。
「見送った理由を書いていれば、逃しても反省になる。書いていなければ、ただの後悔になる」
まなは、ノートを閉じる前に、もう一度だけ今日の銘柄名を見返した。
買った銘柄、買わなかった銘柄、買えなかった銘柄。
どれも、次の判断の材料になる。
運営者への一問
前回、運営者さんは「負けた銘柄でも、時間を置いて冷静に見て、いけると思ったらまた入る」と話してくれました。
では、見送った銘柄がその後に大きく上昇した時はどうでしょう。
追いかけて入り直したくなることはありますか。
それとも、一度見送った理由が残っている限り、もう一度条件がそろうまで待ちますか。
運営者からの回答
運営者さんからは、こんな答えが返ってきた。
「追いかけて入り直したくなりますね。大きく上がってしまった場合は、見送ります。もう一度入れるタイミングが来るまで待ちます。大抵の場合は、他の銘柄を見つけたほうがよい気がします」
はやりは、少し意外そうに顔を上げた。
「入り直したくなる気持ちはあるんだ。でも、大きく上がったら見送るんだね」
みかは、赤ペンで「気持ち」と「行動」を分けて線を引いた。
「ここ、大事です。追いたくなる気持ちはある。でも、追わない。感情があることと、感情のまま注文することは別です」
まなは、逃した銘柄ノートにもう一行足した。
「大きく上がった後は、もう一度入れる形を待つ。なければ、別の銘柄を探す」
最後に
今日の日本株は、派手な約定があった日ではなかった。
でも、見送りの答え合わせとしては、かなり濃い一日だった。
助かった見送り。
逃した見送り。
届かなかった指値。
守られた逆指値。
そして今夜は、米国株の条件付き注文が待っている。
明日の朝、部室のノートにはまた、新しい答え合わせが増えているはずだ。
それでは、今日も合言葉を。
これは投資助言ではなく、放課後の仮想投資日誌。売買よりも、理由。利益よりも、再現性。次の一手は、ノートに残った言葉から。
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